| ザ・近松 登場人物 丹波屋八右衛門（沢田研二） 丹波屋（金貸し）八右衛門は、丁稚奉公から身を興 し、一代で今の店を築いた。商売熱心で勤勉一筋だが、 熱心過ぎるあまり、世間からはドケチ、鬼などと陰口を 叩かれている。女房のおさんは、かつて奉公していた大 店の娘。よく尽くしてくれる気立てのいい女房で、八右 衛門にとっては、自慢であるとともに、密かなコンプレ ックスの種でもある。この女房のためにも店を大きく し、江戸へ行き商売の勝負をするのが、彼の夢である。 色恋など愚かなことだと思っている。 おさん（高嶺ふぶき） 八右衛門の妻。八右衛門とは、惚れ合ってと言うよ りは、親のすすめで一緒になった。優しく勤勉な夫に、 特に不満はない。ただ、八右衛門の心のどこかに、自分 に対する遠慮があるのが少し悲しい。八右衛門が一生懸 命なので黙っているが、江戸に行きたいとは思っていな い。二人には、まだ子供もない。とにかく今まで働き詰 めだったのだ。 色恋を知らずに生きてきた。 忠兵衛（茂山宗彦） 醤油屋の手代。真面目だったが、悪い友達与兵衛と付 き合い、遊びを覚えた。それが深みにはまり、今は天満 屋の遊女、お初に本気でいれ上げている。気が弱いのに 見栄っ張りで、ほうぼうに借金を作り、首が回らない。 色恋に溺れてしまう。 お初（伊藤蘭） 天満屋の遊女。なりたくてなった女郎ではないが、男 を惑わす手管に長けている。忠兵衛に心底惚れているが 八右衛門との出逢いにより心を奪われてしまう。 色恋は生きる手段である。 初演のお初役は荻野目慶子さん、そしてお初の人物像は ちょっと違っていたようです。今回も初期のチラシでは 以下のような人物像でしたが・・・ お初（伊藤蘭） 天満屋の遊女。なりたくてなった女郎ではないが、天性 の淫婦で、男を惑わす手管に長けている。すでに忠兵衛 からは、吸い尽くすだけ吸い尽くし、次の餌を探そうと 思っている。遣り手のお銀とともに、忠兵衛切り、八右 衛門に乗り換える算段を密かに立てている。 色恋は生きる手段である。 そうでなくて良かったような、見てみたかったような？ |